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Pour Bleu

LEXUS CT200h version L

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レクサスのハイブリッドコンパクト、CT200hに試乗してきました。



LEXUS 1Day Tripキャンペーンの案内が届き、近くのディーラーへ。レクサスのディーラーは初めてでしたが、1店舗1億円かけているという噂どおり、しっかりとしたつくりで感心しました。広いスペースにクルマを展示していて、高級感がある内装、でもコーンズほど敷居が高くないような気がします。やはりベンツ、BMWを意識しているのかな。

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今回試乗したのはVersion L、いちばんラグジュアリーなモデルということでしょうか。価格で言えば、オプションなど諸費用すべてコミコミ500万円くらいだと思います。試乗車はほぼ新車なので、皮のいい匂いがしていました。実のところ、外装・内装についてはあまり興味が無いのですが、値段相応以上にきちっと作られていると思います。各種ボタン、レバー、パドルなどを操作してみて感じましたが、細かい部分まで寸法通りというか、日本人らしいきめ細かな仕事をしてあるな、と。イタリア・フランス車のような「丁寧に扱わないと壊れそう」という部分が無いので、とても安心して乗ることができます。パワーウインドー1つとっても気持ちよく開閉できます。あくまで想像ですが、開閉についてもテストを繰り返したのでしょうね。

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乗り込んだときの室内サイズですが、欧州車の広々室内と比べればやはり狭いです。プリウスのほうが広いくらいかな。欧州車のコンパクトハッチと同じサイズ感がします。リアシートも足元は狭いですね。家族4人で旅行に行く用途だときびしいかもしれませんが、がんばればなんとかならなくもない。4ドアだし、衝突安全性をクリアしていて、このサイズのクルマではがんばっている、コンパクトだけど絶妙なサイズ感だと思います。トランクはまぁまぁかな。僕の206と同じくらいかも。

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エアコンの操作性ですが、とても使いやすいと思いました。手を伸ばせばすぐにオン・オフできます。当日は微妙に暑い日でしたが日本のエアコンは非常によく冷えるので、オン・オフを繰り返しました。その際、初めて乗った自分でも迷うことなくスムーズに操作ができます。

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ただ、ナビは微妙でした。慣れの問題かもしれませんし、そもそも僕がナビを信用していない、というのもあるかもしれません。そのためか、僕は頻繁にズームイン・ズームアウト、コースの確認、地図スクロールをします。問題は、地図のスクロールがやりずらいことです。スクロールはいちばん手前の四角いスティックを押しこみ、スクロールさせたい方向へスティックを倒せばスクロールします。これが操作しずらくて難儀しました。あまり倒しすぎるとスクロールしすぎてしまうし、そもそも押し込みながら細かい操作なんてできません。結局iPhoneのGoogleマップを頼るということに。この手のクルマに乗る人って、運転しないで後部座席にいるのか、それとも、ナビを全面的に信用して目的地をセットしておしまい、という人が多いのかな。コース自体もたしか緑色で表示されていましたが、他の主要道路と同じ色で、どれがコース?という感じでした。いい加減、ナビのUIを変えてもいいと思うんですが、どうなんでしょうね。スティックではなく、トラックパッドじゃだめなのかな。オーディオについては、僕自身、クルマで音楽やラジオを聴かないのでよくわかりません。見た感じではシンプルな操作ボタンですし、操作性はいいと思います。

さて、シフトレバーとパーキングブレーキについて。実のところ、以前乗ったプリウスと同じです。部品の共有化ということで仕方ないのかもしれませんが、シフトレバーをやめて(アバルト695みたく)1、N、Rボタン、オートパーキングにならないものでしょうか。パーキングはありがちなフットブレーキタイプだし、トルコンATとはいえ、いつまでもレバーに固執しているのもどうかと思うんですよね。レバー操作してもレバー自体はセンターに戻りますし。その意味で言えば、スポーツ・ノーマル・エコと走行モードも、センターにある大きめのシルバーなダイヤルで切り替えられますが、こちらについてもボタンでいいような気がします。アヴェンタドールは走行モードの切替ボタンをうまくまとめていますし、デザインをうまくすればボタンでいいと思うんですよね。ちなみに、ダイヤルを右に回してスポーツ、左でエコ、押し込むとノーマルに切り替えられます。

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ところで、いちばん期待していたのはパドルシフトだったりするのですが、正直期待はずれでした。そもそもこのクルマでパドル操作なんてしないのが普通だから、仕方ないのかもしれません。シフトレバーをSにすれば、パドル操作可能になります。高速走行していても、市街地をゆっくり走っていても、Sにしたときは3のまま。Sにしてもパドル操作しないかぎりは、止まっていても3です。無段変速なのでギアの概念は無いからかもしれませんが、せめてスピードを落としたときは自動で3→2→1となってほしい。また、3以上に上げても、レブカウンターが追随して変化してくれず、ものすごく緩慢な動きをします。静粛性のあるクルマなのでエンジン音もよく聞こえず、「本当にシフトアップしたの?」という感じでした。シフトダウンしても、1~2秒遅れて回転数が上がります。この緩慢さがどうも体感的にあいません。ただ、高速走行時に3以下に落とそうとしてもできません。このあたりはきちんと壊れないように制御しているようです。結局、Dで走るのがいちばん快適でした。話が変わりますが、いちばん驚いたのは高速走行中に回転計が突然「ゼロ」になることです。HVだからモーターで走っているとき、自動でエンジンオフになるわけですが、慣れないのでかなり驚きました。えっ、高速なのにエンジンストール?壊れた?みたいな(笑) さらに余談ですが、両パドルを同時に引いてもNにはなりませんし、パドルはハンドルと一緒に回るタイプです。固定パドルはフェラーリの特許、というのは本当なのかな。

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走行モードが3種類あるのはすでに書きましたが、スポーツ・ノーマルともに普通に走ります(メーター表示も変わります)。エコだと本当に走りません。アクセルを踏み込んでも速度が上がらないので、かなり焦りました。都内や高速の長い渋滞時はいいかもしれませんが、それ以外だとエコモードの使い道がなさそう。逆にアクセルを踏み込もうとしてしまうので、エコじゃなくなるような気がします。このクルマ、普通のセダンよりシートポジションが高いしプリウスよりも静粛性があるので、気がつくと法定速度まで加速していた、ということが結構ありました。普通のクルマだと、アクセルを踏み込めばシートに押さえつけられるような感覚がありますし、高まるエンジン音が聞こえてくるので、「加速している」という実感があると思うんです。でもこのクルマはシートポジションが高いし、加速が滑らか・静かすぎて、加速感がありません。いまいち速いのかわかりませんが、スピードメーターを確認すると速度が出ているので、速いんでしょうね。というか、最近のクルマって、滑らかに素早く加速、という感じなのでしょうか。それともレクサスだから、そういう乗り心地にしているのでしょうか。

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ハイブリッドといえばプリウスなので、やっぱり比較してしまいますが、静粛性という点でいえば、プリウスより明らかに静かです。エンジンやハイブリッドシステムはプリウスと共有している・制御プログラムが違う、と説明を受けましたが、あのハイブリッド独特の「キュィーン」という高調波の音があまり気になりません。まったく聞こえないわけではありませんが、よく抑えられていると思います。加速(している)感はプリウスのほうがあります。プリウスはきびきび走るというイメージ、CT200hは加速感は感じられないけど速い、という感じです。想像するに、内装が豪華なぶんCT200hのほうが重いはずなので、そういうことなのでしょう。調べると、CT200h Version Lは、総重量1,715kg、(この前の)プリウスは1,625kg、90kg差ですか。

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足回りは、まるで欧州車のようです。要は硬くてしっかりとしています。トヨタ車のやわらかいイメージで乗ると違和感があるかもしれません。実際、トヨタ車からくるお客さんから「硬すぎ」と言われることがあるんだそうです。このブログをお読みの方たちは、硬くて助手席不適合車が好きな人たちばかりだと思いますし(笑)、たぶん気に入ると思います。ずっと前に試乗したBMW 1erに近い感じでした。最近も助手席に乗せていただきましたが、あの感覚に近いです。硬い足のためでしょうか、湾岸高速の直線でそこそこの速度を出してみましたが、ハンドルを取られたり、ブレたり、振動したりすることもなく、「怖い」と思うことはありませんでした。すごく安定していて、高速巡航も安心していられます。首都高のつなぎ目を乗り越えるときも、激しい突き上げもなく、ピッチングも感じません。かといって、車体がすっ飛ぶような不安感もなく、車体剛性もかなり高そう。ただ、ブレーキはちょっと弱め。日本市場向けのブレーキダストに考慮したパッドを使っているからでしょうか。高速域からのブレーキングで、もちろんブレーキ中でも安定はしていますが、あまりよく効かない印象でした。スポーツモードだったからかもしれませんが、プリウスのほうがよく止まる印象です。あるいは、あくまでレクサスらしく「滑らかに加減速する」という味付けなのかもしれません。高速走行中にハンドルを左右に振ってみましたが反応がクイックで、タイヤがどんな状態なのかよくわかります。というより、重心が高いのをつい忘れて振ってしまったので、ちょっと怖かったです。とはいえ、レーンチェンジや街中のカーブなど、スパッとキマりますし、これなら中央道のカーブでも安定して走れそうなぶん、ちょっと楽しそうです。

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いろいろと書いてしまいましたが、総じてみれば良くできていると思います。個々の機能・使い勝手を見ると、いわゆる縦割り組織で開発したというか、全体を有機的につなげる・まとめあげるディレクターの不在を感じますが、走行性能はかなりこだわっているように思いました。壊れない安心感、静粛性、高級感があり、刺激・非日常性はないけれど、毎日をおだやかにすごす、そんなイメージのクルマかな。そもそも、パドルシフトがどうとか、エグゾーストがどうとか、このクルマにそういった刺激性・官能性を求めるのが間違いな気がします。実際、CT200hについてのクロストーク・セッションを読んでもそういう印象を受けます。

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今回のキャンペーンでは、コンラッド東京でランチ、リラクゼーションマッサージというコースを堪能しましたが、「レクサスとともに、こういう素敵な日を過ごすのはいかが?」という提案だったと思います。自虐ネタですが、爆音フェラーリでホテルに乗り付けて食事、なんてエコな今時カッコ悪いでしょ、みたいな(笑) 今回の試乗車は赤でしたが、ベーシックなカラーならそれほど目立たないし、どこにでも乗っていける安心感はあります。ちなみに、燃費は(都内を乗って、大黒まで往復して、あれだけエコじゃない運転したのに)約20km/Lでした。やっぱり日本のエコ技術はすばらしいです。
by nyajilacs | 2014-06-05 14:20 | Car